審美歯科の7つ道具 ~その1~
残念ながら、現在、ほとんどの歯科医院には歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」がありません。通常の保険診療をするのであれば、マイクロスコープがなくても、大きな問題はないと思います。
しかし、高精度を要求される本当の「審美歯科」において、マイクロスコープは必須の道具であると私は思うのです。
使用しているのは
ドイツメーラー社の
ユニバーサ300です。
また、キレイ(高精度)に歯が削られていないとピッタリ合ったかぶせ物を作ることが困難になってしまいます。
かぶせ物がピッタリ合っていないと、長持ちしなくなってしまうのです。
また、かぶせ物がピッタリ合ってないと変色の原因にもなり、せっかく審美歯科治療をしたはずが台無しになってしまうこともあるのです。
つまり、ほんのわずかの隙間も作らないほどの高精度な治療が本当の「審美歯科」には求められているのです。
それだけでなく、最近では審美歯科治療に使われるセメントが歯の色に非常に近くなっており、肉眼では見分けるのが困難な場合が多くあります。
セメントの取り残しはかぶせ物を装着した後に、歯肉炎を引き起こす原因となる可能性があります。
歯肉炎を引き起こすと、歯茎が下がってしまい、審美性を損なう原因となります。
そもそも、本当の「審美歯科」とは肉眼では天然の歯なのかどうか、見分けがつかないぐらいのレベルを目指すわけですから、肉眼で見て治療をしてる限りはその領域に行くことは難しいのではないかと私は思います。
しかし、マイクロスコープを使うことで肉眼の12-16倍に拡大した映像を見ることが可能になります。
肉眼の12-16倍の世界では、今まで目では見えなかったものが見えるようになります。
特にラミネートベニアの治療をする場合は歯の表面を薄く削る必要があります。
更にラミネートベニアは隣の歯を削らずに、治療する歯の表面をわずかに削らなければいけない場合も多くあります。このように、「治療する歯を最低限しか削らず、かつ隣の歯を傷つけない」という高精度が要求される場合には、肉眼では限界が生じます。
また、ラミネートベニアの場合、セラミックと歯の境目が歯の表面に来る関係上、その境目にほんのわずかでも段差があれば、その段差にプラーク(歯垢)が沈着し、堺目が変色するリスクが高くなってしまいます。
上記のようなことを考えると本当の「審美歯科」をする上で、マイクロスコープは正に必須の道具といえると私は思うのです。