審美歯科の基準
ジンジバルカンツァーとポジション
下顎の前歯4本と上顎側切歯の歯茎の形は左右対称で、半円状か半楕円状であるのが審美歯科的に美しいとされています。
中切歯と犬歯は歯茎の頂点が歯の中心線より外側にあるため、歯茎が描くカーブは斜めの半楕円形となるのが審美歯科的に美しいとされている。
なぜなら、歯には1本1本、役割があり、個性があるのです。
1本1本の歯の個性が表現された形をデザインすることが審美歯科的な美しさを表現する上では非常に重要なのです。
Fig.28 Gingival shape & zenith
中切歯の歯茎の高さは審美歯科的には左右で同じであるべきです。また、側切歯、犬歯の歯茎の高さは中切歯と同じか、側切歯が中切歯、犬歯よりやや低いのが審美歯科的に美しい。
Fig.29 Equal gingival height is acceptable
6前歯の歯頚線が一致しているのは、理想的とまでは言えないが良好である。
Fig.30 Ideal gingival height relationship
中切歯と犬歯の歯頚線が揃っていて、側切歯がやや低いのは理想的な状態である。
Fig.31 Least desirable gingival height relationships
側切歯の歯頚線が中切歯と犬歯よりも高いのは、一般的に魅力的なスマイルとは言えない。
スマイルラインは、審美性、発音、機能とともに上顎中切歯の切縁の位置と歯冠長を決定する要素の一つである。
理想的な中切歯の長さ(Incisal length)は、伝統的にスマイルラインや切歯の見え方(Incisal display)、あるいは以下に示す考え方を参考にして決定されてきた。
1. 中切歯の長さは顔の長さの1/16とするという考え方で、これを具現化する器具も存在するが、科学的な根拠はない。
2. 中切歯の幅径を基準に長径を決定する方法は、一般的に長径の75%~80%を幅径とする考え方が受け入れられている。
3. 慣習として10mm~11mmが好ましい中切歯の長さとして受け入れられている。
4. Fの発音の際に下口唇に干渉するようなら、中切歯は長すぎるといえる。
5. 側方観における咬合平面に対する切縁平面の位置
口唇がリラックスして離れているときの切歯の見え方(Incisal display)が足りない場合、切縁の延長が必要となる。その基準としては、安静時において2~4mmの切歯が見えるというのが、理想的である。
歯の見え方が適切に診断されていて、スマイル時に中切歯の長さが短いために歯肉部分が見えすぎるという場合には、歯頚線を下げる処置を行うことができる。
適当な咬合、歯周組織、機能の診断がなされてから、歯頚線を下げるか歯冠を延長するかの処置を決定する。